people耕す人

生産する人、流通させる人、研究する人など広島県の食を耕す人をピックアップ。

  1. カラス捕獲用箱罠田辺農園/田邊介三

     

    令和元年にカラスの被害が甚大で、さらに異常なほどの暖冬で越冬するカラスが多いと思い、
    捕獲するしかないと考えたのが罠作りの始まりでした。

    罠のサイズは(W)4m×(D)4m×(H)3m、横から見るとMの形で中央の低い部分の高さは2m。

    山から出て来るイノシシやシカに壊されないように単管パイプで組みました。畑など壊される
    心配のない場所であればハウス用のパイプ(太さ25)で十分でしょう。周りの網はカラスの糞
    で錆て朽ちやすいので錆びにくい素材の物か錆止め塗装した物を使用した方がいいです。
    私の場合は町内にワイヤーメッシュを作っている会社があったので5cmの網目のワイヤー
    メッシュを特注しました農作業の合間に組んだので完成まで時間がかかりましたが、2人で3日
    あれば十分組めると思います。中央の低い部分がカラスの入口です。箱罠内側の入口部分の
    周りに40~50cmの針金を吊るします。この針金に羽が当たるのを嫌がって外に出れなくなり
    ます。ごくまれに出るやつもいるようですが・・・。カラスの習性で高いところに行こうとするので
    両サイドの高い場所に行って出れなくなります。立方体ではなくM字型になっているのはその
    為です

     

    さて、完成後。罠の中に1羽でもカラスが入っていれば、つられて入ってくることがわかりました。
    中に居ないと警戒してなかなか入りません。最初は中に餌を入れ、餌があることを認識させよう
    と入口の針金を付けずに出入り自由にしました。そして何を好むか試してみたら竹輪をよく食べ
    るということがわかりましたその状態で10日以上餌を与え、慣れたかなと思い針金を吊るした
    ら警戒して入らなくなりました。針金の本数を減らしたりと1ヶ月以上試行錯誤しましたが全く入
    りません。そんなある日、たまたま梨園のネットに引っかかってるカラスを見つけ、箱罠に入れて
    みました。2日後に新たなカラスが1羽入ってきました、次の日にはもう2羽、その次の日にもう2羽
    とどんどん入ってきました囮のカラスを入れてから20日間で30羽を捕獲できました。

    「最初の1羽目が大変だよ」と教わったのですが、本当にそうでした。このタイプの箱罠を設置さ
    れる場合は、既に設置されてる人や猟友会の人に生きたまま捕獲していないか聞いてみて1羽
    貰って囮用に中に入れた方が絶対に早く捕獲できます

    増えると餌が大変です。共食いもします。捕獲したとはいえその時点ではまだ梨の被害はありま
    した。箱罠の中の数を減らそうと駆除すると近くの木に居たカラスが騒ぎだして梨園に来ていた

    カラスと一緒に遠くへ飛んでいきました。それ以来カラスは全く来ません。梨の被害も止みました。

    カラスが来ないから捕獲もできませんが・・・。カラスの死体を吊るすと来ないとか聞きますが、大

    事なのは吊るすことではなく駆除している場面を見せることだとわかりました。

    以上、カラス駆除のレポートです。農作物の被害が少しでも減りますように・・・。

     

    田辺農園

    田邊介三

    安芸高田市甲田下甲立1169-2

  2. ご存じですか?松きのこ有限会社世羅きのこ園/本池朋美

    松きのこは、当社きのこ園が松茸の研究をする中で生まれたシイタケの仲間です。
    かつて日本有数の松茸産地であった世羅町ですが、酸性雨や黄砂、マツクイムシの発生など
    自然環境の悪化で生産量が激減。そんな中、山の現状を改善するためにさまざまなきのこの人
    工栽培を試み始めました。当初は育てたきのこを山の自然に帰してやろうとしましたが獣害など
    で断念。屋内栽培に移行しました。そして、ある菌種にシイタケ菌を加える実験を重ねるうちに
    今まで見たことのないきのこが発生したのです。以来20年近い歳月を費やし優良選別を繰り
    返した結果、「松きのこ」が誕生しました。

    松きのこは姿形が松茸によく似ています。香りは山のきのこのように芳醇で、さくさくとした
    食感に驚かれる方が多いです。おいしく食べるコツは火を通し過ぎないこと。炭火焼きやホイ
    ル焼きにすると他のきのこにはないほんのりとした甘さと独特の香りをお楽しみいただけます。
    とくに人気は天ぷらです。

    当社では、今後さらに『世羅町発信の広島県特産品』をめざして、安全安心な農薬不使用
    栽培に取り組んでまいります。

  3. マルシェ運営を通して広島の農業の課題に直面、その解決策を流通事業に求める特定非営利活動法人まちづくりコミュニティデザイン研究所/平井啓子

    2011年春、広島にもあったらいいなと思い描いていた日曜市の開設に向けて始動。県内約100軒の生産者さんに開設主旨を伝え、参加者を募りました。そして翌年7月生産者と消費者が直接つながる青空市場「ひろしまみなとマルシェ」を、広島の海の玄関広島港広場にオープンさせました。毎月第1日曜日・第3日曜日に開催する中、行政受託事業等を通じて大規模農業、企業参入農業、新規就農などさまざまな様なスタイルの生産者と出会ってきました。
    また、同時に広島県6次産業化プランナーとして活動する中で農業の課題に直面。経営、人材、天候、規格、物流、販路などの課題を解決するため、手探りしながら2016年には中規模流通事業をスタートさせました。現在、県内約30軒の生産者さんから生産物を集荷、量販店内の自社産直コーナーで販売しています。さらには、独自のマーケティングチャネルによる新しい農産物流通の仕組みを構築中です。